主人で3代目となる西村家。先々代(主人の祖父にあたる)が一面の赤松林だった神町地区を開拓し、先代がサクランボ、ラ・フランス、リンゴを植え果樹栽培を始め今年で約70年経ちました。当園は、果樹栽培が盛んな山形県の中でも、駅名にまで『サクランボ』がついている果樹王国東根市、その中でも特にくだものが美味しいと評判の神町地区にあります。
西に月山、北東に黒伏山、天気がいいと北に鳥海山をのぞむ崖の上にあり、風通しや水はけがよく、果樹栽培には最適な場所にあります。
大学で果樹を専攻し、りんごの主力品種『ふじ』の品種改良に携わった教授から教わりました。日本の果樹栽培にかける手間ひま、技術の高さ、品質の良さを知り、ますます果樹に興味を持ちました。 卒業後、果樹栽培の盛んな山形の観光果樹園に就職し、ご縁があり現在の西村果樹園へ。研修会で『米や野菜と違って果物は生活に必要なお金が余ったら買ってもらえる贅沢品』という言葉がずっと心に残っていて、果樹農家は誰かをちょっとリッチな気分にできる特別な職業だと思ったのを覚えています。今は季節の風や天気の移り変わり、四季の移ろいを感じながら仕事できる喜びをかみしめています。日焼けとシミ、しわは勲章。たまに手荒れ休暇があったりします。
中学、高校と吹奏楽部でクラリネットを担当し、嫁ぎ先で自衛隊の音楽隊に入隊した高校の後輩と再会し演奏会に足を運ぶ。子育てが一段落したタイミングで一般団体に入団し、演奏会やコンクールに参加しました。山形には東北初のプロオーケストラの山形交響楽団があり、クラシックを身近に聴ける環境があります。演奏会ではチケット代を払っても形として残るものがないように、くだものも食べればなくなってしまいますが、どちらも形がなくても心にきちんと残るものがある贅沢品です。先行きが見えず、日々不安で心がトゲトゲしている今日。音楽が人々を癒してくれるように、我が家の果物もそんな心を少しでもまるくしてくれるものであってほしい。こんな時代だからこそ『西村果樹園の果物が食べたい』と自然に思い出させてくれる味のくだものであってほしいと思っています。